石井佑果 / Yuuka Ishii

果物や植物、壺や風景などのステレオタイプな西洋絵画を連想させるモチーフや筆致の引用、あるいはアルファベットやトランプカード、ピアノの楽譜といった記号的な要素の羅列や編集による絵画作品を制作しています。
過去の絵画の中で描き尽くされてきたような内容物を、要素の組み合わせや画面上での扱いなど、些細な出来事によって新たな奇妙なイメージへと変換することに興味を持っています。絵画的であることと絵画的でないこと、そしてイメージをどこにも着地させていない浮遊状態の感覚が自作にとって重要です。
また、絵画の成立は決してアイデアのみによるものではなく、絵の具という物質自体を扱ったその場その場の空間認識の決定によるものと考えています。イメージを絵の具に翻訳し画面に定着させることは、何を描くか、またどう描くかという絵画の普遍的な問題です。
過去の膨大な量の「絵画」と呼ばれるものの中から取捨選択する方法と判断、またその描き方によって、絵画の成立とその無数の組み合わせについての検証を行なっています。