1/356000
尾潟糧天 / Ryoten Ogata
MJK Galleryは、尾潟糧天による個展「1/356000」を開催します。
人と自然の関係性を基軸とし、海をモチーフとした作品で知られる新進気鋭のアーティスト、尾潟糧天。多様な視点を用いて自然との境界を見つめ直し、既存の風景の捉え方を変容させ、テクノロジーの手法に基づいた独自の制作プロセスを生み出しています。
本展では、これまで尾潟が作品を制作する上で用いてきた記憶の装置としてのアプローチから発展し、経験に基づいた物理・気象的な分析・調査をもとに制作された作品を展開します。ドローンを活用した制作プロセスは、波の物理的な生み出され方を細かく分析し、実際の海を地形的な座標、風速、風向き、波の流れといった側面をあらわにした上で切り取られます。
また、波だけでなく、岩場の環境から地域の風土といった周縁環境は、実際のフィールドワークで尾潟自身の目を通して作品プロセスに内包されていきます。『観測、研究は乾いた行為』と語る尾潟。展示作品は、自然環境を把握し制御しようとする人間の本能的な態度に挑み、自然のもつ神秘性、不可解さ、畏怖の念といった人間の理解を超えた自然の情景を写しとる、いわば写経のような作業から生み出されているものです。
陸と海の境界である海岸線は、世界中全て合わせるとその長さは356,000kmにも及びます。タイトルの「1/356000」は、世界の海岸線のひとつひとつを淡々と記録し続ける、尾潟自身の制作への態度を反映したものです。それぞれの場所への特別な感情はなく、あくまで「356,000分の1」という無機質な情報であるということを記述し続け、現在進行形で変化し続ける海岸線の今を切り取るものであることを表しています。観測的行為を起点とし作品として具現化するプロセスには、グローバルな共通意識にもつながる喫緊の環境問題を想起させ、鑑賞者に自然と人との関係を再考させるきっかけを与えてくれるかもしれません。
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尾潟糧天/Ryoten Ogata
1994年生まれ 北海道下川町出身
北海道の自然豊かな環境で育った経験にヒントを見出し、主に海をモチーフにした作品を制作している。
絵画作品を軸としつつ、自然とテクノロジーをクロスさせたデジタル作品や身体的なパフォー マンス作品など、様々なメディアを横断しながらパラレルに自然を描き出している。
Exhibition
2021.2 SUiii hair salon (札幌)個展「MONSTERS」
2021.5 wise owl hostels river tokyo (東京)個展「Awe」
2021.8 SOUR&SISHA SERA (東京) 個展「Dimension」
2021.9 NNN SHISHA CAFE&BAR (札幌) 個展「Dimension」
2021.10 Maru Art Center (韓国) グループ展「韓・中・日文化協力美術祭」出展
2021.11 Pop up House Section L合同展(東京)「TREK」
2022.3 Shibuya Fashion Week 2022 Spring 出展(東京) 「Identity/Contact」
2022.8 LIFFT Concept Shop(東京) 個展「鯨寄る浦、虎伏す野辺」
2022.9 Clio Art Fair New York (ニューヨーク) 出展
2022.12 雨後(札幌)個展「Does the Flap of a Butterfly's Wings in Brazil Set Off a Tornado in Texas?」
2023.3 MA5 Gallery (東京)個展「PHYSIS」
2023.11 YOKOHAMA BAYSIDE WAREHOUSE (横浜)個展「Surges」