Drift
森川裕也
私は自分たちの身の回りにある見慣れたものが本当は何でできていて、どういう物なのかということをよく考えます。
化学的な材料としてではなく、どんな性質や背景を持つ素材なのかという点です。
それは、今も目の前にある物事に対して私たちは表層的な部分のみを知っているだけで、その物事たちが持っている「見えにくい背景」には、ひどく無関心で鈍感であるのではないかと感じることがあるからです。
道端に落ちている腐ったゴミ、ベランダに干された錆びたハンガー、百円で買える安価な中古の民芸品など、振り返りもしないような事象ですらその裏側には何かしらストーリーやある時代の背景をはらんでいます。
今回制作した作品には、リサイクルショップで収集した品々や廃棄される部品などをモチーフに選びました。
中古品としてお店に並ぶものは郷土民芸品や伝統工芸品、観光地のお土産などさまざまですが、最終的にネットやリサイクルショップで流通するまでにどんな経路を辿ったか想像でしか語ることはできせん。
しかし元々の価値から遠く離れた場所まで辿り着いているように感じます。少し壮大な言い方かもしれませんが、人間の営みの縮図を見ているような気がしました。
「Drift(漂流)」と題した本展では、文化が生まれ、浸透して消費され、再利用されるまで摩耗した「漂流物」の形を焼き留めることで、現代社会のメタファーとなる表現を提示します。
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森川裕也 / Yuuya Morikawa
1993 三重県生まれ
2017 多摩美術大学大学院美術研究科工芸専攻 修了
〈個展〉
2024 「 個展 “Drift” 」MJK Gallery(東京)
2019 「 個展 “Still Eating” 」plat.inc(東京)
「 個展 “nonsense” 」いりや画廊(東京)
2018 「MORIKAWA YUUYA pottery exhibition」伊勢丹相模原店(神奈川)
2016 「 個展 “景を眺める” 」いりや画廊(東京)
〈グループ展〉
2024 「CERAMIX」西武渋谷店美術画廊・オルタナティブスペース(東京)
「幻在の表現 島内聡士・関井一夫・森川裕也」日本橋高島屋S.C.美術工芸サロン(東京)
2023 「Chronicle:反復の地層」MJK Gallery(東京)
「[セラミック・シナジー展]技術と表現。工芸と芸術。個と集団」
松井利夫賞 / 京都市京セラ美術館(京都)
2022 「#ART GOES ON」SEASIDE STUDIO CASO(大阪)
「いりや画廊企画 壁11㎡の彫刻展#06」いりや画廊(東京)
2021 「トッテのある形 part 3」Gallery VOICE(岐阜)
2019 「多摩美術大学助手展 交差する視点」FEI ART MUSIUM YOKOHAMA(神奈川)
2017 「バリュープライス いりや画廊若手支援プロジェクトvo.7」いりや画廊(東京)
2016 「アジア現代陶芸展2016」臺北當代工藝設計分館(NTCRI)、台灣工藝設計館(台湾)
2015 「アートフォーラム三重-UPDATE-」三重県総合文化センター(三重)
「-火仕事-多摩美術大学工芸学科卒業制作展」SPIRAL GARDEN(東京)
2014 「震災と表現 BOXART~共有するためのメタファー~展」
グループワーク / リアス・アーク美術館(宮城)
〈アートフェア〉
2023 「Study:アート&クリエイティブフェア」グランフロント大阪(大阪)
〈公募展〉
2024 「XVI International Ceramics Biennial of Manises」入選/Sala Els Filtres(バレンシア)
2023 「第71回埼玉県美術展覧会」入選/埼玉県立近代美術館(埼玉)
「2023・ZERO展」ZERO会賞 / 宝塚市立文化芸術センター(兵庫)
2019 「第3回瀬戸・藤四郎トリエンナーレ」入選 / 瀬戸市美術館(愛知)
〈コレクション〉
リアス・アーク美術館(寄贈)
〈その他〉
2024 「月刊アートコレクターズ」作品掲載
2022 「THE POT 現代植木鉢図鑑」作品掲載
2020 現代美術文化新興財団 陶芸家支援助成金 2期生