Ni Estu Amikoj

左刀大地 / Daichi Sato

会期:2024年8月29日(木)ー 9月15日(日)

MJK Galleryは、アーティスト・左刀大地による「Ni Estu Amikoj」を開催します。

左刀大地は、インターネットで見つけた風景や静物の写真に幻想的な要素を取り入れて、現実と幻想の境界を曖昧に捉え直す作品で知られているアーティストです。

左刀の描く風景には、時代を超えた独特の雰囲気があり、鑑賞者はそれぞれに懐かしく感じると同時に、不思議なデジャヴを覚えます。

本展タイトルの「Ni Estu Amikoj」は、エスペラント語で「友達になろう」を意味します。エスペラント語とは、そもそも異なる文化や背景をもつ人々が相互理解を目的に制定された言語でもあります。その言葉が作られた背景には、国際平和への道を模索することを目指したと同時に、地域特有の言葉の成り立ちと社会との関係を明らかにする過程があったといわれています。

「友達になろう」という姿勢は、たびたび芸術作品のテーマになる一方で、芸術分野では軽んじられていると左刀は指摘します。芸術の営みを振り返ると、記憶に新しいのは、documenta 15で提唱された「lumbung(ルンブン)」という概念でしょう。アートを作るより友達をつくろうと銘打ったものは関係性を重要視する革新的なものだったといえるかもしれません。ヨーロッパの軋轢を含め、一筋縄ではいかない実践の現状があれど、資源を共有し、共同体を形成し、共に成長することを重視する考え方といえます。共同体、ひいては連帯のかたちを示すことで、複雑化する国際社会をいかに生き抜くのかといった視座を与えてくれるものでもありました。

それ以前にも確かに、印象派もキュビズムも、それからフルクサスなど、関係性から発展した芸術の活動様式があったことはいうまでもありません。これらの活動も友達の輪から広がった「連帯のかたち」と言い換えることもできるでしょう。「内輪」であることの指摘を甘受しながら、敵をつくることで強固に育まれるコミュニティの形成を模索することではなく「競争ではなく、協働を」という「友達になろう」の態度は、開かれたアーティストランスペースやオルタナティブスペースの実態にもあらわれているものでもあります。また、友達、といってもその関係性は固有のもので、易々と可視化されるものではないでしょう。左刀の見立てを通して、混迷を極める社会状況の中、友情や共同体の意義を改めて考える契機となるかもしれません。本展は、観る人にとって、心地よい懐かしさと不思議さが同居する特別な体験を生み出していきます。この機会にぜひご高覧ください。

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”NI ESTU AMIKOJ”は、「友達になろうよ」の意味です。

今回の展示では取り止めのない実験や、リラックスして作った変哲のない作品が 中心となっています。

そこには ”フレンドシップ” がサブジェクトになっていると気づきました。

人間社会における ”価値” は、複数の人とのコミュニケーションの中で生まれて育ちます。

毎日電話をする友人、いつもの店で会う友人。数年ぶりに会って近況を聞かせてくれる友人、関係性の変わった友人、DMで誘ってくれる友人、海外から定期的に遊びに来る友人、年に数回だけ会う友人、最近仲良くなった友人、彼らと人生の中での一喜一憂を共有する中で形成される価値観というものには普遍性があり、 魅力的だと気づくようになりました。

友人のinstagremの投稿や、会話の中で話したこと、遊びに行った際の出来事や体験、僕の身体が関わった、僕の周囲にある小さなネットワークの中でのことについての展示です。

そして、君も僕と仲良くなってくれたらいいなとおもいます。

左刀大地